薩摩川内の大綱引き
さつませんだいのおおつなひき
概要
薩摩川内の大綱引きは,鹿児島県薩󠄀摩川内市に伝承される若者たちを中心とした綱引きの行事で,毎年9月の秋分の日の前日に行われる。市内はもとより,周辺地域からも多くの参加者や見物客が訪れて賑わいを見せ,九州地方における最大の綱引き行事であるといわれている。
大綱引きは,綱(つな)練(ね)りと本綱(ほんづな)の二つから構成される。綱練りは,大綱を編む作業のことで,早朝より住民総出で藁縄の大綱を綯(な)っていく。それが終わると,ワサ作りといって綱の両端に輪が設けられ,最後に綱出しと称して,市内の国道上に大綱を担ぎ込み,道路中央にダンギと称する支柱を立て,綱の中心部を載せて綱練りが終わる。完成した大綱は,長さ約365メートル,直径約40センチ,重さ約7トンと公称されている。一方,本綱は,実際の綱引きのことで,市街を上方(赤組)と下方(白組)とに二分して行われる。引き方の指令・伝令役となる太鼓隊,引き手となる引き隊,引き手を妨害する押し隊,ダンギにワサを引っ掛けるワサ係などの役割がある。総勢約3,000人にのぼる上半身裸の若者たちが一斉に綱を引き合い,引き手の邪魔をしようと相手陣内に押し入ろうとする押し隊同士のぶつかり合いは勇壮である。本綱はおよそ一時間半にわたって繰り広げられ,膠着状態となった時点で審判が綱を切断し,勝敗が決められる。勝てば運に恵まれるとも伝えられる。
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国指定文化財等データベース(文化庁)