藤木遺跡出土鋳型
ふじのきいせきしゅつどいがた
概要
藤木遺跡出土鋳型
ふじのきいせきしゅつどいがた
佐賀県
弥生時代
彫り込まれた製品は、銅釦、銅鏃2点、銅釧で、いずれも2つの鋳型を合わせて鋳造する複合笵となっており、石材は灰白色の石英長石斑岩である。
銅釦鋳型は、中央の円形の座部と鍔部の彫り込みが認められ、約1/3が残存する。残存長7.8cm、最大幅6.8cm、最大厚3.4cm、重量233gである。1面のみの彫り込みで砥石への転用は認められず、背面は蒲鉾形を呈する。鋳型に彫り込まれた銅釦は、鍔端部に縁を持ち、鍔部と座部間に段を有する。平面形は正円ではないが、直径8.0cm、座の下段径5.4cm、上段径5.0cm、器高は約1.5cmと復元できる。製品の出土は有明海沿岸地域を中心に8遺跡10例が知られるが、鋳型自体の出土は我が国で初例である。なお、当該鋳型から推定される製品の大きさ、形態とも類例は認められない。銅鏃鋳型1は、抉り入りの有茎鏃の単鋳式鋳型で、残存長8.9cm、最大幅7.2cm、最大厚3.4cm、重量335gである。切先部に湯口が認められる。背面は蒲鉾形を呈し、中位には鋭利な工具によるV字形と鋳型緊縛用の溝の彫り込みが認められる。鋳出される銅鏃は、全長約8.0cm、幅2.7cm、茎幅0.85cmで鎬を有するものとなる。銅鏃鋳型2は、凹基式の銅鏃の単鋳式鋳型で、全長8.4cm、最大幅5.5cm、最大厚2.8cm、重量191gである。背面は蒲鉾形を呈し、中位には鋳型緊縛用の幅広の溝状彫り込みが認められる。また、鋳型1と同様に、切先部に湯口が認められる。湯口及び刃部周辺は黒変し、実際に使用されたものと考えられる。
鋳出される銅鏃は、全長8.0cm、最大幅3.3cmと大型のもので、実用品とは考えにくい。銅釧鋳型は、折損しており、約1/2程度が残存する。残存長7.4cm、残存幅5.6cm、最大厚2.1cm、重量132gである。銅釧の彫り込み部及び湯口周辺は、黒変し、実際に使用されたものと考えられる。背面には湯口や円弧状の彫り込みが認められるが、折損しているうえ砥石として再利用されているため詳細は不明である。鋳型に彫り込まれた銅釧は、鉤部を彫り込む余地がないため円環型銅釧と推定され、外径6.5cm、内径5.0cm程度に復元できる。
4点
佐賀県鳥栖市宿町1118番地
佐賀県指定
指定年月日:20190426
鳥栖市
有形文化財(美術工芸品)