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准胝観音像

じゅんていかんのんぞう

概要

准胝観音像

じゅんていかんのんぞう

絵画 / 平安

平安時代・12世紀

絹本着色

103.4x47.4

1幅

重要文化財

 准胝(じゅんでい)観音は、京都・醍醐寺(だいごじ)を中心とする小野流の真言密教では、六道で苦しむ衆生を救済する六観音のひとつとされます。除災、延命、安産などを祈る修法で本尊として用いられました。平安時代、醍醐天皇(だいごてんのう)の皇子誕生を准胝観音に祈願したところ、のちの朱雀(すざく)、村上両天皇が誕生したことから、とくに子授けや安産祈願の対象とされました。
 通常は単独で描かれますが、この作品は、中央に准胝観音、その周りに四天王を描くとても珍しい形式です。
 准胝観音は、輪郭(りんかく)を柔らかく淡い朱の線でひき、全体に明るい中間色で描かれています。衣などに見られる金色の繊細な文様は、金箔(きんぱく)を髪の毛ほどの細さに切って貼り付ける截金(きりかね)の技法によるものです。さらに、脹脛(ふくらはぎ)の膨らみなどには、白いハイライトをきかせて立体感を出す「照暈」(てりくま)、衣の襞(ひだ)などに、地と同系統のやや濃い色を使って立体感を出す「段暈」(だんぐま)の技法が使われています。全体に、柔らかく優美な雰囲気が感じられるのは、平安時代末の院政期(12世紀)の仏画の特徴といえるでしょう。
 一方、周囲の四天王は、輪郭の墨線が強く、全体に少し暗めの色が使われています。動きの感じられるポーズ、ひるがえる衣の表現など、全体に力強い印象は、鎌倉時代の特徴といえるでしょう。
 平安時代から鎌倉時代へ、時代の変わり目を感じさせる作品です。

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キーワード

延命 / 仏画 / 真言 / 修法

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