根来寺 行者堂
ねごろじ ぎょうじゃどう
概要
根来寺は紀ノ川下流域,大阪府境の和泉(いずみ)山脈の南麓に所在する新義真言宗の総本山寺院である。13世紀末に当地に教学の拠点が置かれ,16世紀半ばには大寺院に発展した。天(てん)正(しょう)13年(1589)に羽柴秀吉の紀州攻めで伽(が)藍(らん)の大半を焼失した後,近世に復興が進められた。大伝法堂は中世の威容の再現を志向して再建され,広壮な内部空間をもつ。光明真言殿は巧みな構造技術により静(せい)謐(ひつ)で気品ある大空間を実現した。境内正面の大門は規模雄大な二重門である。これらの諸堂は根来大工を中心に大坂や越後の大工との協働により造営された。中世の盛期伽藍を志向し,近世に達成した本山再興の中枢をなす建築群として高い価値が認められる。