耳付茶入 銘 於大名
みみつきちゃいれ おだいみょう
概要
茶入とは、抹茶を入れる容器で、お茶の席でもっとも重要とされる道具です。
この茶入は、江戸時代の大名茶人、小堀遠州(こぼりえんしゅう)が八条宮智仁親王(はちじょうのみやとしひとしんのう)から拝領したと伝えられるものです。もとは注ぎ口のある水滴(すいてき)の形だったのを、遠州が注ぎ口をはずして今の形に仕立て直したといわれ、両肩に穴のあいた三角の耳をもつ、珍しい形の茶入です。「於大名(おだいみょう)」とは、大名は耳が大きいほうがよい、といわれることからついた銘と伝えられます。たっぷりとした量感と、茶色がかった黒い釉薬の色が見どころでしょう。
遠州はこの茶入を拝領した際に、伏見の屋敷で茶席を設けました。そのときに使われたのが、当館の庭園に移築されている茶室・転合庵(てんごうあん)と伝えられています。そのため、この茶入れは転合庵の銘ももちます。茶入於大名と茶室転合庵は、その後別々に所蔵され、離れ離れになりましたが、明治に再び一緒になり、昭和38年、ともに東京国立博物館に寄贈され、現在に至ります。