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深養父集断簡(名家家集切)

ふかやぶしゅうだんかん めいかかしゅうぎれ

概要

深養父集断簡(名家家集切)

ふかやぶしゅうだんかん めいかかしゅうぎれ

/ 平安

伝紀貫之筆

平安時代・11世紀

彩箋墨書

1幅

重要美術品

 この作品は、清原深養父(きよはらのふかやぶ)など平安時代の有名な歌人の歌を集めた冊子本の一部を切って、掛け軸に仕立てたものです。茶の湯の席で床の間に掛けて鑑賞されました。
 中央の大きな余白に、雲がふんわりと飛んでいるような模様があるのがわかりますか? これは、飛雲(とびくも)といって藍(あい)や紫の繊維を漉(す)き込んだ模様です。平安時代に流行した料紙装飾で、この作品の見どころのひとつです。
 では、書かれている内容をみてみましょう。右の2行は秋の歌です。
さよふけて くもいはるかになくかりの こえきくよしも かぜのはげしき
 風の強い夜更け、遠くに聞こえる雁の声を詠んだ歌です。
 中央に、「冬部」とあります。歌集は通常、季節の歌を春夏秋冬の順に編集することが多いのですが、ここから冬の歌が始まることを示しています。さらに、雪という題のあとに、この次のページに記されているはずの歌の説明、詞書があります。
 秋の最後の歌1首と、冬の最初の1首の詞書のみが記されたこの作品、なんだか中途半端なようですが、季節の移ろいを感じさせる構成が、茶の湯の席ではまた格別な風情を感じさせるものになったのかもしれません。
 紀貫之が書いたという伝承がありますが、実際にはもっとあとの時代に書かれたもので、筆者はだれかよくわかっていません。

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キーワード

/ 万葉集 / 平安 / 校本

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