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波兎蒔絵旅櫛笥

なみうさぎまきえたびくしげ

概要

波兎蒔絵旅櫛笥

なみうさぎまきえたびくしげ

漆工 / 江戸

江戸時代・17世紀

木製漆塗

1合

 旅櫛笥は旅行用の化粧道具を入れる箱のことです。この箱の下には2段の引き出しがついています。ここにもいろいろな化粧道具を入れていたのでしょう。
 この旅櫛笥は木製で、表面に黒漆を塗り、金蒔絵の技法でデザインをあらわしています。兎は長い耳をなびかせ、波間をかいくぐり、海面の上を駈けまわっているようにも見えます。黒と金の対比が、幻想的な場面を演出しています。
躍動感ゆたかな波と兎は、シンプルな蒔絵の技法で巧みに表現されます。金粉はあるところは密に、あるところはまばらに、蒔き方を使い分けることによって、質感に微妙な差をつけています。側面のデザインはつながっていますが、立面をうまく利用し、アップダウンのある立体的な構図となっています。蓋表(ふたおもて)の構図ともうまく調和して、違和感がありません。美しく整った箱の形、巧みなデザインの構成、シンプルな蒔絵の技法など、洗練された17世紀の蒔絵の特徴をよく表わした作品です。
 波に兎という取り合わせは、月に住む兎が波の上を走るという伝説にもとづく図柄です。このデザインは、日本の工芸品にしばしば用いられました。

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キーワード

蒔絵 / / / 技法

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