白釉碗
はくゆうわん
概要
白釉陶器の碗。轆轤成形により高台を成し、高台脇から外に向かって立ち上がりそのまま口縁となる。高台内部を削り出す。胎土は灰色である。高台とその周囲の底部を除いて全体にやや黄みを帯びた白い釉薬を施し、さらに透明釉をかける。見込に使用痕、口縁に擦れが6ヶ所見られる。官器(宮廷用の器)も生産した定窯に対し、同時期に最盛期を迎えていた民窯の磁州窯では、灰色の胎土に白泥を塗り、その上に透明釉を施した製品を作った。線彫や鉄絵で装飾を施した製品がよく見られるが、無地の製品も少なからずあり、あたたかみのある色調の白色が特徴である。 本作品も灰色の胎土に白化粧を施しており、柔らかなあたたかみのある色調であることから、宋時代の磁州窯製品の可能性が高い。