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白銅蓮池文磬

はくどうれんちもんけい

概要

白銅蓮池文磬

はくどうれんちもんけい

金工 / 平安 / 奈良県

出土地:奈良県吉野郡天川村金峯山出土

平安時代・12世紀

銅製 鋳造

裾幅20.3 高11.1 縁高0.96

1面

重要文化財

 磬(けい)は、仏教の儀式の際に打って鳴らす道具です。儀式を進める中で、僧侶がこれを打って、節目(ふしめ)や合図(あいず)とします。磬は現在でも仏教寺院でよく使われています。寺院の本堂を訪ねたら、仏像の前にセットされた僧侶の座席の周囲を見てみてください。枠(わく)に吊るされた磬を見ることができるかもしれません。専用の撥(ばち)で中央のあたりをたたくと、「カーン」という甲高(かんだか)い響きがします。
 磬は漢字の中に石という字が含まれるように、もともとは石で作られた、紀元前の古代中国の楽器でした。古代中国の磬は、音響の良い石材を「ヘ」の字形に成形し、大きさを少しずつ変えたものを順番に吊るし、打ち鳴らして音階を出しました。その後、どのような経緯で、仏教に取り入れられたのかは、よくわかっていません。日本の仏教で使われるようになった磬は、石製ではなく青銅製の鋳造で、形は左右の辺の長さが等しい山形であるのが、最も一般的です。
 この磬は、銅を主な材料として少量の錫(すず)を混ぜた合金を鋳造して作られています。おそらく錫の割合を、少し多くしたためでしょう。全体に白っぽい色あい、つまり「白銅」に仕上がっています。錫の割合を多くしたのは、叩いて鳴らした際の音の響きを良くしたかったからと考えられます。
 中央には蓮の花を上からみた図を、その左右には池から茎(くき)をのばす蓮の花や葉をあらわしています。蓮の花は、泥の中から立ち上がり、清く美しく大きな花を咲かせます。このため仏教の生まれた古代インドの昔から、気高(けだか)い花として尊ばれ、仏教美術のデザインでもよく用いられてきました。この磬にあらわされた蓮の文様のやさしくおだやかな表現は、12世紀のお経の箱に描かれた文様とよく似ており、同じころ制作されたと考えられます。

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