金銅蓮華唐草文金剛盤
こんどうれんげからくさもんこんごうばん
概要
密教は仏教の宗派の一つで、古代インドで発生し中国に広まり、日本には9世紀の初め弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)により本格的に導入されました。密教では、「大日如来」(だいにちにょらい)という仏を中心に、多種多様な仏がまるで細胞のように働き、宇宙を構成していると考えられています。密教では、「密教法具」(みっきょうほうぐ)と呼ばれる独特の道具が用いられます。密教法具には様々な種類がありますが、その内容は大きく2つに分かれます。一つは捧げものや液体、花やお香を入れる実用的な器類。もう一つが、先の尖った武器のような形をしている法具。古代インドの武器がその原型といわれています。実用というよりは武器のシンボルで、煩悩や邪悪なものを打ち破るという意味が込められているのです。密教法具は壇の上に規則的に並べられ、僧侶はその壇を前に儀式をとり行います。
金剛盤は、そうした武器のシンボルである金剛杵(こんごうしょ) や金剛鈴(こんごう)を安置するための足付きの台です。金剛とはダイヤモンドのこと。つまりダイヤモンドのように固いということを意味しています。金剛盤は4弁の花のような形をしていますが、1弁はでっぱりが小さく、ほとんど平坦な線を描いています。この平坦な方を手前にして置き、盤の中央に五鈷鈴(ごこれい)、五鈷鈴を三角に取り囲むように、独鈷杵(とっこしょ)、三鈷杵(さんこしょ)、五鈷杵(ごこしょ)の3種の金剛杵を配置するのが最も一般的です。
この金剛盤は銅を鋳造(ちゅうぞう)して成型し、盤の表に蓮華唐草を彫り表したのち、全体を鍍金(ときん)しています。底には3つの足を取りつけています。蓮華唐草の文様を表す彫刻の技法は、通常とやや異なっています。文様の形に線を彫り込むのではなく、文様の周囲を掘り下げることで、文様をレリーフのように浮き立たせているのです。この彫刻技法によって表現された蓮華唐草の文様が、12世紀の美術に特有の、繊細で柔和な印象を与えています。
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