隷書六言詩横披
れいしょろくごんしおうひ
概要
塩業で栄えた江蘇省揚州(ようしゅう)は、乾隆・嘉慶の頃、財を成したパトロンの庇護のもと、書画家が多く寄寓しました。そのなかには、揚州八怪(はっかい)にも数えられる金(きん)農(のう)や鄭燮(ていしょう)のように、金石趣味が色濃く投影された書を残す者がいました。彼らは碑学派の先駆的存在と言えます。
金農(きんのう)は西嶽華山廟碑(せいがくかざんびょうひ)などの漢隷を学び、後に呉の禅国山碑(ぜんこくざんひ)や天発神讖碑(てんぱつしんしんひ)に基づいて漆書(しっしょ)と称される独創的な様式を確立しました。本作はその好例で、筆を刷毛状に用い、横画と縦画の太細を極端につけて、ときに左払いをヒゲのように細長く伸ばします。没する一年前の書です。(六人部氏執筆)