白釉緑褐彩壺
はくゆうりょくかっさいつぼ
概要
中国四川省の邛崍(キョウライ)窯址では、唐時代から五代十国時代にかけて透明釉の下に絵付けされた陶器が盛んに作られた。白い化粧土の上で緑・黄色・褐色に発色する絵付けが唐三彩を髣髴とさせることから、「邛崍三彩」とも呼ばれる。しかし、透明釉の下に絵付けを施す工芸技法は唐三彩より、むしろ長沙窯との類似が指摘されている。本作は日本で稀有な邛崍三彩の好例である。白化粧を二重にかけ、その上に草木の絵付けを施す。絵付け後に黄色味を帯びた透明釉をさらにかける。高温で焼成され、素地は硬い。釉裏に施された絵付け、実用に耐えうる素地の硬さは、大部分が墓への副葬という非実用的な目的で作られた唐三彩と異なり、新しい時代の様相をたたえる。