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虚空蔵菩薩像

こくうぞうぼさつぞう

概要

虚空蔵菩薩像

こくうぞうぼさつぞう

絵画 / 平安

平安時代・12世紀

絹本着色

132.0x84.4

1幅

国宝

 虚空蔵(こくうぞう)とは、虚空、つまり広大な空間のように、無限の徳や知恵をもっているという意味です。
 日本の仏教では、8世紀ころより虚空蔵菩薩を信仰するようになり、その後も広く支持されました。その最大の理由は、この菩薩を本尊とした、ある修行を行うことによって、無限の記憶力を増進させることができると考えられたからです。信仰の広がりを証明するかのように、日本には数多くの虚空蔵菩薩の彫像や画像が残されています。
 数ある虚空蔵菩薩の画像の中で、この図は最も古く、しかも最も完成度の高い作品として知られています。菩薩は岩の上に置かれた蓮華の花の上に坐っています。胸の前で上に向けた左手の手のひらの上には宝珠(ほうじゅ)を載せています。宝珠を持っていることによって、この像が虚空蔵菩薩であるとわかるのです。オーラのような丸い光が、体を包んでいます。
 よく目をこらしてみてください。衣服などにさまざまな文様が、ひじょうに細い金の線で描かれているのがわかるでしょうか。これは截金(きりかね)といって、金箔を細い線に切ったものを、文様の形に一本一本貼りこんだものです。ほのかに赤らむ白い肌、微妙に色調を変えていくグラデーションなど、ディテールへのこだわりに驚かされます。こうした緻密な表現は、日本の仏教絵画が最も成熟した12世紀の特色です。また、今は黒く変色していますが、銀色を多く使っており、静かな落ち着いた雰囲気を表現したかったのであろうと考えられています。

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