天下図
てんかず
概要
木版印刷による世界図。本来は「中国図」・「東国八道大総」(朝鮮図)・「日本国図」・「琉球国図」および朝鮮八道の各道図とともに全13枚のセットで構成された地図帳の一部である。同種の地図帳は17世紀後半から19世紀前半の朝鮮で、刊本や写本によって盛んに製作された。それらの天下図は共通して世界を円形に表わし、中国や崑崙山を中心とする大陸を中央に据え、周囲の海と環状の大陸、さらに外側の海域から構成される。中央大陸に実際の地理情報が盛り込まれる部分もあるが、大半は『山海経』などに登場する中国の道教・神仙世界の伝説的な地名や国が散りばめられている。世界を円形に収める表現は西洋の影響で、17世紀に西洋の地図・地理情報が流入する中で、東洋古来の地理的世界をベースに、朝鮮の社会や思想を反映して独自に生み出された世界図が、このような天下図である。