色絵栄花物語冊子形硯箱
イロエエイガモノガタリサッシガタスズリバコ
概要
『栄花物語』の和装本を積み上げた状態をかたどった硯箱である。冊子を七冊重ねた状態で、一冊づつの厚さも異なるなど、細部へのこだわりもみえる。『栄華物語』とは、平安時代後期の歴史書で、藤原道長(九六六~一〇二八)、頼通(九九二~一〇七一)の栄華を中心に、平安貴族の生活を物語風に描いたものである。白釉の地に「栄花物語 御賀」と銹絵で記し、紗綾文地を紺の絵具、菊花を赤、緑の絵具と金彩で描いている。一般に古清水と総称される色絵陶器である。ただし、極端に色挿しをして盛り上げてはいない。また、蓋上の菊文の部分には透かし彫りがみられる。印や銘などはみられない。