水仙蒔絵櫛
すいせんまきえくし
概要
象牙彫、政子形の挿櫛である。政子形の櫛は、安永頃に江戸の南伝馬町3丁目鼈甲職・駿河屋六左衛門が鶴岡八幡宮の什宝「菊籬蒔絵螺鈿手箱」(政子の手箱)の内に納められる櫛の形に倣って作り始めたとされる。黒蝋色塗地に金・銀粉の高蒔絵で水仙を表す。裏面に「光真」の蒔絵銘がある。前山光真は池田泰真(1825~1903)の門人で、幕末・明治の江戸・東京で活躍した。花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。