日出桜梅菊蒔絵櫛
ひのでさくらうめきくまきえくし
概要
鼈甲製、月政子形の挿櫛である。月政子形は明治時代に流行したとされる。黒漆地に表には日出、霞に桜、裏には梅・菊を高蒔絵に螺鈿、切り貝を交えて表す。裏面に「永耕」の蒔絵銘がある。作者の土方永守(1890~1953)は、東京美術学校を卒業した漆芸家で、永耕と号して千駄木の団子坂で櫛類を製造し多くの門人を輩出した。切金・切貝を多用した豪華な高蒔絵で知られる。花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。