落葉
概要
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落葉
Dead Leaves
1891年
油彩・麻布 80.8×63.8㎝
フランス留学中の作品。1891年9月に黒田は久米桂一郎らと初めてブレハ島を訪れた後、いったんパリに戻ってから10月から11月にかけてグレー村に滞在した。この作品は、当時フランス以外の出身の芸術家が好んで集まったフォンテーヌブローの森の南側、ロワン河沿いにあるこの小村の黄葉したポプラ並木を描いたものである。すでに秋も深まり、ほとんどの葉が黄葉しているうえに、木の葉の多くが落葉している。色調分割は用いていないものの、印象派風の短く生気あふれるタッチを導入して、木の葉の表現に新鮮味を加え、タ日を浴びてますます黄褐色に深みを増した落葉風景を生き生きと描出した外光派的な作品である。樹木の技を巧みに交錯させ、画面斜めに横切るように樹木を並べるなど構図上の工夫も見られる。黒田自身、会心の作として、この作品を留学時代の恩人、フランス駐在公使田中不二麿に贈っている。