「名所江戸百景・亀戸梅屋舗」
めいしょえどひゃっけい・かめいどうめやしき
概要
前景に当時有名であった「臥竜梅」を大きく描く構図は、新鮮で印象的な詩情を求めた『名所江戸百景』の新しい試みをよく示している。赤・紫・緑を背景に純白の梅が馥郁と薫っている。装飾的で象徴的な日本の伝統的表現法が生かされ、早春の気配が巧みに描き出されている。印象的で装飾的な表現を多用したこのシリーズは、『東海道五十三次』などに見られる繊細な写実を脱し、歌川広重の新しい詩境を示すものであった。判形もたて形を用い、緊張感と動性をよくあらわすものである。