安岡家住宅(高知県香美郡香我美町) 主屋
やすおかけじゅうたく しゅおく
概要
安岡家住宅は,高知県中央部の東方,周囲に田園が広がる平坦地にある。
安岡家は18世紀後半に現在地に居を構え,文化4年(1807)に郷士株を譲り受けた。
広大な屋敷のほぼ中央に主屋を配し,周囲に道具蔵,釜屋,米蔵がある。主屋は文政11年(1828)の建築で,他の建物も江戸時代末期までに建てられている。
主屋は居室部と座敷部からなる。居室部は食い違い田の字型の四室を基本とする。座敷部は,主室と次の間からなり,式台を附属する。
安岡家住宅は,四国地方の民家としては規模が大きく,主屋は居室部と座敷部を巧みに繋いだ独特の構成をもち,上質なつくりで意匠的にも優れ,武家住宅の構えを備えた特徴ある建物として貴重である。
附属施設が主屋を取り巻くように配され,屋敷の全体構成もよく残り,江戸時代後期における当地方の郷士の住宅を代表するものの一つとして重要である。