旧第九十銀行本店本館
きゅうだいきゅうじゅうぎんこうほんかん
概要
旧第九十銀行本店本館は,盛岡市中心部にあり,明治41年起工,同43年12月に完成した。設計者は盛岡出身の横浜勉である。
煉瓦造2階建,一部地下1階で,南棟の東には煉瓦造の脇塀がつく。一階が営業室と客溜,金庫室,応接室,頭取室,二階が総会室,重役室などからなる。
外観は,ロマネスク・リヴァイヴァル様式により銀行建築としての重厚性を表しつつ,室内ではゼツェッシオンの平明かつ簡潔な意匠を創り出している。
旧第九十銀行本店本館は,全体として装飾要素は抑制され,様式建築からの離脱の過程を示す作品であり,一九世紀末の欧州の建築運動をいち早く反映させた遺構として,我が国近代建築史上,重要である。また,二階床組のトラス梁や二階床換気口の開閉機構など,構造技法等にも見るべきものがある。