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長柄桜山古墳群

ながえさくらやまこふんぐん

概要

長柄桜山古墳群

ながえさくらやまこふんぐん

古墳 / 関東 / 神奈川県

神奈川県

逗子市桜山
三浦郡葉山町

指定年月日:20021219
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

 長柄桜山古墳群は、神奈川県南東部、相模湾に面した三浦半島西岸の付け根付近の 丘陵上に立地した2基の大型前方後円墳からなる。古墳は、平成11年に、携帯電話の中継所建設に伴い山林が伐採された際、地元考古学愛好家による埴輪の採集を契機に、神奈川県教育委員会と財団法人かながわ考古学財団が行った、分布・確認調査により新たに発見されたものである。
 古墳群は海岸近くから東西に延びる丘陵尾根線上に立地する。この稜線がほぼ逗子 市と葉山町の境界となり、いずれの古墳も両市町にまたがって所在する。海岸から約1km内壁側の丘陵尾上に1号墳が、そこから海岸側へ約500m離れて2号墳がある。1号墳からは東京湾から房総半島を見渡すことができ、直下に逗子の入り江が迫る2号墳からは、相模湾から遠くは富士山を望むことができる。
 1号墳は標高約120mの地点に立地し、主軸を北東から南西におき前方部を南西に向けている。墳丘の北側から東側にかけての裾は一部崩れているが、全長90mで、墳丘裾にはテラス状の平坦面がみられる。後円部は径51m、高さ7m、前方部は長さ39m、幅31.5m、高さ約4mで、比較的細身で端部が広がる形状である。葺き石はなく明瞭な段築もみられない。遺物はくびれ部を中心に壺形埴輪や円筒埴輪、土師器が出土している。
 2号墳は標高約100mの地点に主軸を東西におき前方部を西に向ける。墳丘の全 長は約88mで、後円部の径54m、高さ約7m、前方部は長さ34m、幅45m、高さ約8.7mである。前方部西側が丘陵端に位置することもあって前方部の高さが 際だっている。葺き石は施されているが、明瞭な段築はみられない。円筒もしくは朝 顔形埴輪や壺形埴輪、土師器の二重口縁壺が出土している。内部主体の発掘調査は行われておらず、その構造や副葬品から古墳の時期を推定することはできないが、埴輪 や土師器の特徴からいずれも、古墳時代前期の4世紀に相前後して築造されたと考えられる。
  長柄桜山古墳群は墳丘全体の保存状況が良好である。2基の古墳は、現在のところ神奈川県内で最大級の規模である。三浦半島は東京湾口をはさんで房総半島と対面し、『古事記』に記されたヤマトタケルの東征説話の海上ルート上に位置する交通の要衝 に当たり、古墳の造営の背景には、古墳時代前期における大和政権と関東を結ぶ海上交通との関係が推定される。当時の関東と畿内を結ぶ交通や南関東の地域の政治情勢を考える上で重要であり、史跡に指定し保護を図ろうとするものである。

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