根来寺庭園
ねごろじていえん
概要
奥書院の北、西および南に面する庭園と、聖天堂南面の聖天池とより成る。奥書院の北および西に面するものは築山泉水庭であって、裏山の裾に池をほり、北正面に滝頭石組を高く積み重ねて滝を三段に落す。池には大小2島を低く築き2枚の石橋を架け、また浮島を据え、島および池辺には主に平石による護岸石組を行う。奥書院の南庭は東南隅に立石を組み景石を配し、アカマツ・ツツジ等を植えた平庭である。奥書院および表書院は寛政12年に紀州家の吹上御殿を移築し、翌享和元年に落成したものであり、これに伴い作庭されたものと認められる。意匠簡素であって風趣ととのいよく当時の手法を残している。
聖天池は中央に島があって弁戝天を祀り、附近に若干の石組を保存する。池辺一帯にマツ・カエデなどを植え風致に富む。池は天正3年の年号ある「一乘山根来寺絵図」に画かれているので本寺開創以来の園地の遺構として貴重である。
今回、所有者の同意が得られたため、敷地の一体的保護を図るために眺望の対象となる背後の山地等本坊の区域や、聖天池の構成要素として重要な聖天堂及び行者堂、楼門などの区域を含め追加指定を行い、庭園として一体の価値を構成する区域の全体について保護を図ろうとするものである。また、既指定地に係る地番の錯誤を是正するため一部指定の解除を併せて行う。