京都岡崎の文化的景観
きょうとおかざきのぶんかてきけいかん
概要
京都東山の麓,白川の扇状地に位置する岡崎は,平安時代には院政が執り行われた白河(しらかわ)殿(どの)のほか,六勝寺(りくしょうじ)の大伽藍及び園池が造営された地域である。応仁の乱の後農業を主体とする地域となり,岡崎村,聖護院(しょうごいん)村として都市近郊農業が成立した。近世には白川の支流が灌漑用水として流れていたことが分かる。近代には,殖産興業策の一つとして琵琶湖疏水(そすい)が建設され,水運,水力発電等によって京都の近代化の礎を築くとともに,平安遷都1100年紀念祭及び第4回内国勧業博覧会が開催された。また,南禅寺界隈では別荘の開発が進み,疏水の水を活用した庭園群が形成された。博覧会跡地には岡崎公園,京都市美術館等の文化施設が建設され,京都を代表する文教地区として現在に至る。
京都岡崎の文化的景観は,白川の扇状地の利点を最大限に活用し,古代から中世には寺院群,中世から近世には都市近郊農業,近代には琵琶湖疏水の開削に伴い文教施設や園池等が展開するなど,大規模土地利用を経た京都市街地周縁部における重層的な土地利用変遷を現在に伝えるものである。
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国指定文化財等データベース(文化庁)