龍泉寺庭園
りゅうせんじていえん
概要
S54-6-066龍泉寺庭園.txt: 龍泉寺の創建は『資財記』(春日大社蔵)によれば飛鳥時代と伝える。現在ある建物は仁王門(重文・鎌倉時代)・本堂・聖天堂・鐘楼(いずれも江戸時代)があり、本堂と仁王門の間、東寄りに塔跡の礎石が残る。園池は本堂の西側にあり、ほぼ南北60メートル、東西45メートルで、南北ほぼ1列に3個の中島を配し、橋を架している。中央中島には春日造(桃山時代)の建物に弁財天を祀り、他の中島にも小祠を構え、その状況は寛文9年(1669)、同寺所蔵古図とほとんど同じである。池は伽藍北西隅から湧出する豊富な水を本堂の北背面に堰堤を築き湛えたもので、古くは信仰の対象として、また灌漑用水として利用されていたのを、伽藍の整備にともない中島の数を増し祠堂を置き相互間に橋をかけるなど、信仰と観賞を兼ね併せるようになったものと思われる。
寺域を囲む樹林、北西に聳える岳山を含めて、静寂幽邃な景観を作り出しており、この地方に稀な鎌倉時代頃の庭園として貴重である。