養源院 客殿
ようげんいん きゃくでん
概要
養源院は,淀殿が父浅井長政の菩提を弔うために文禄3年(1594)に創建した寺院で,元和7年(1621)に徳川秀忠夫人お江により境内が再興された。伽藍の中心となる客殿は六間取方丈形式の平面をもち,西面に入母屋造,軒唐破風付の奥玄関を附属し,内部は俵屋宗達の筆と伝える襖絵や杉戸絵などで飾られる。
養源院客殿は,木柄が大きく豪壮な方丈建築で,重厚な玄関と上段の間を構え,各室内を障壁画で飾るなど上質な接客空間を備えており,意匠的に優れている。建立年代が明らかで保存も良好であり,江戸時代初期における方丈建築の展開を示す点において,高い歴史的価値を有している。また護摩堂や鐘楼堂,中門もいずれも質が高く,伽藍再興期の様相を良好に伝えるものとして重要である。