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水平線上のスコール

すいへいせんじょうのすこーる

概要

水平線上のスコール

すいへいせんじょうのすこーる

油彩画

クールベ、ギュスターヴ  (1819-1877)

くーるべ、ぎゅすたーう゛

フランス

1872-73年

油彩、カンヴァス

53.6×72.4cm

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クールベの海景は、1865年から1873年にかけての9年間に集中している。この時期、彼は英仏海峡に面した美しいノルマンディーの海岸を訪れ、静かな海、荒れ狂う海、船のある浜辺、絶壁が海に迫り出す特異な景観で知られるエトルタの断崖などを連作風に描いている。とくに1869年のエトルタ滞在中には、生涯で最も多くの海景画を残した。その数はカタログレゾネに所収の作品だけでもおよそ50点以上にのぼる。 クールベは、1871年に国会議員、パリ市会議員の選挙で続けて落選。その後、パリ・コミューンの際にサント=ペラジー監獄に入牢。しかし病気のため手術をうける。1873年にスイスに亡命するまでの間、生まれ故郷のオルナンですごすが、体調は思わしくなかった。こうした困難な時期に、クールベにとって絵画上の最良のモチーフとなったのは、ノルマンディーで見た重厚な迫力で押し寄せてくる荒れた嵐の海であった。 本作は、友人の手紙によると、クールベがこのオルナンに滞在していた1872年から73年にかけて制作した一連の海景画のうちの一枚だと推測される。オルナンはスイス国境に近い地方都市で、海には全く縁がないところであるが、1869年のエトルタでの集中的な制作のおかげで、以後数年間は海景をしばしば再創造することができたのであろう。動感あふれる大波の塊は彼の絶好のテーマで、波の内側に秘められた自然界の力強さを、パレットナイフを駆使して重量感豊かに描いている。この「波」の連作は、有名な「鹿」の連作と並んでクールベ絵画の代名詞ともいえるものである。

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