オランダ風景銅版画集
6点組+扉絵
概要
簡約な線で描かれた風車のある風景。詩人ボードレールは、この版画集が出版された年、『画家たちと腐蝕銅版画家たち』という一文でヨンキントをたたえた。彼の作品には、「自らの追憶と夢想との秘密」がこめられているのだと。
ヨンキントはその生涯の多くをフランスで過ごしたオランダの画家。海風景を得意として、フランス北部のノルマンディー地方を訪れ、後に印象派の画家となる若きモネに影響を与えている。
ボードレールは、版画に見られるヨンキントの素早い筆致が、十七世紀の画家レンブラントと比較できるほどに、こなれていると絶賛している。
そして、そのスケッチ風の描法は、明るいフランスの陽光を得て、一瞬の風景の輝きをとらえる印象主義を予告した油彩画となり、やはりノルマンディーの海で制作していたモネの眼に新鮮な驚きを与えたにちがいない。 (荒屋鋪透)
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三重県立美術館