旧醸造試験所第一工場
きゅうじょうぞうしけんじょだいいちこうじょう
概要
醸造試験所は,日本酒の研究を行って醸造技術と品質の向上を図るため,明治政府が設立した研究施設である。第一工場は中核施設の大規模な煉瓦造建造物で,明治37年に竣工した。設計は大蔵技師の妻木頼黄である。
断熱のため厚い壁体に空気層を設けた中空壁とし,天井はヴォールト天井,二階床は鉄骨梁に煉瓦ヴォールトを架けるなど,高い建築技術が用いられている。
旧醸造試験所第一工場は,妻木頼黄がドイツのビール醸造施設を応用して設計した煉瓦造工場建築である。当時最新鋭の設備を備えた日本酒醸造施設として,また大規模な複合煉瓦造建築物としても技術的に高い価値がある。醸造に関する唯一の国立研究機関の施設として,日本酒造りの近代化と酒類産業の発展に貢献しており,歴史的価値が高い。