旧新町紡績所 二階家煉瓦庫
きゅうしんまちぼうせきじょ にかいやれんがこ
概要
旧新町紡績所は富岡製糸場から5年後の明治10年に明治政府が設立した絹糸紡績工場である。佐々木長淳を総括とし,ドイツ人の指導を受けながら大工の山添喜三郎ら日本人の手で建設された。明治42年まで操業を続け,その間工場の増築や建物の新築が図られてきた。工場本館のコの字形切妻造屋根部は官営期工場部で,独特なトラスなどに洋風建築の技術と日本在来の技術の併用が見られる。鋸屋根の増築部,煉瓦造の機関室や倉庫は,明治期の紡績工場の発展形態を示している。
旧新町紡績所は,希少な木造の工場建築がほぼ完全な規模で残り,明治初期の建築技術を良く示しており,高い歴史的価値がある。明治期の絹糸紡績工場唯一の遺(い)構(こう)であり,絹糸紡績業の発展の過程を示すものとして,高い学術的価値が認められる。