内子座
うちこざ
概要
内子は,明治時代を通じて製蝋業や製紙業で繁栄した。内子座は,大正天皇即位を記念し,町民の娯楽を目的として大正5年に建てられた。木造,一部二階建で,正面軒唐破風付の入母屋造屋根,大棟には太鼓櫓を載せ,両脇に切妻造屋根の突出部を附属する。小屋はトラス組とし,内部は伝統的な和風芝居小屋のつくりで,二階向正面の桟敷に枡の仕切りを設けるのは近代的である。内子座は,部分的な欠失があるものの,主要部がよく残っており,地方の産業町に残る文化施設として貴重である。正面性を強調した外観,トラスの架構や採光のガラス窓の多用,正面からの舞台鑑賞を意識した客席など,芸能に適応しはじめた近代過渡期の芝居小屋として,高い歴史的価値を有している。