宮古島保良の石灰華段丘
みやこじまぼらのせっかいかだんきゅう
概要
棚田のような形状を有するカルスト地形の一種で,保良宮土(ぼらみゃーどぅ)地区の崖下部に長さ約70m,幅約30mの範囲で分布する。宮古島の地質構造は,中新世から鮮新世の中国大陸東海岸からもたらされた砂や泥から成る島尻層群を基盤とし,その上位に約10~50mの琉球石灰岩(更新世の珊瑚礁)が不整合で覆っている。また島全体の地形は,東側が高く西~南西側に向かって緩やかに傾斜する。そのため,島の東端の保良地区では,海岸の崖中腹部の島尻層群と琉球石灰岩の境界部が露出する。地下浸透した降雨は,島尻層群の上面を伝って流下し,保良宮土地区の崖部で湧水として流れ出ている。湧水中の炭酸カルシウムは,水分の蒸発とともに石灰沈殿物(石灰華)として析出し,石灰華によって縁取られた小さな池が順次形成されて,崖下部に野外の石灰華段丘として国内最大規模で発達している。日本国内において,鍾乳洞以外の場所で石灰華段丘が形成されることは珍しく,学術上貴重である。
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国指定文化財等データベース(文化庁)