下地島の通り池
しもじじまのとおりいけ
概要
宮古島西方の伊良部島に近接する下地島は、全域が琉球石灰岩に覆われた低平な小島で、長径約5km、短径約2.8kmの楕円形を成す。特に島の西側には標高8〜15mのカルスト地形から成る海岸段丘が発達し、複雑な海岸線が展開している。通り池は、そのような海岸地形にあって、ドリーネが連結することにより形成された大小2つの円形池である。
通り池は、海霊の化身である人面魚を釣ったために、罰を受けて津波により陥没した漁師の屋敷跡であると言い伝えられているほか、継子と取り違えて実子を池に投げ捨ててしまった罪深き母親にまつわる逸話なども残されている。
琉球石灰岩から成る亜熱帯地方のカルスト地形の海岸地域に雨水や海波の浸食が形成した独特の凹地で、絶壁に囲まれた独特の風情と淵のような美しい水面を持つことから、様々な神秘的な伝承に彩られた景勝地として親しまれてきた。琉球石灰岩から成る洞穴及び水面としての観賞上又は学術上の価値のみならず、その形成の過程が示す学術上の価値はともに高い。