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琉球国之図
間切図

りゅうきゅうこくのず
まぎりず

概要

琉球国之図
間切図

りゅうきゅうこくのず
まぎりず

絵図・地図 / 江戸 / 沖縄 / 沖縄県

沖縄県

第2尚氏時代

1巻
7枚

沖縄県那覇市おもろまち3-1-1

重文指定年月日:20160817
国宝指定年月日:
登録年月日:

沖縄県

国宝・重要文化財(美術品)

本件は、18世紀中葉に琉球王府が土地農業政策改革の基礎事業として実施した乾隆検地の測量結果に基づき作成された「針図」をもとに18世紀末頃に編集された地図群である。測量は、三角法、十字法など日本で実施されていた測量術が採用される一方、「唐針」(384度)など清国で用いられた測量道具の使用等も認められ、日本、清国双方の技術を取り入れた独自の測量術にて実施された点に特徴がある。
 琉球国之図は、楮紙を縦使いに3枚継いで料紙とする。沖縄島を中央に配し、東は伊計島、久高島、北は伊平屋島、西は久米島までを描く。縮尺は約12万分の1である。地図は海岸線と広域行政単位である間切境、間切内の杣山境を細墨線にて輪郭する。杣山中の間切境(山方境)は朱線にて、海上の間切境(海方境)は金泥線に白線を重ねてあらわされる。墨、緑で山、樹木を描く杣山を除き、陸地の過半を占める地域は間切ごとにその地色を鮮やかな6色に塗り分け、間切境を明確にする。道筋を白色、川筋を濃青色にてあらわし、各村は金泥円形、番所は朱正方形、火立所の場所は朱円形に記号化され地図上にあらわされる。
 間切図は、琉球国之図とほぼ同質同大の楮紙を用い、国頭間切図を2紙継とする以外は各1紙とする。沖縄島中部(旧中山地域)に位置する北谷・越来間切以南の地域につき隣接する2から7の間切を1図にあらわした地図5枚と、同島北端の山岳地域で面積が広大な国頭間切の西部図1枚、国頭間切の西方の洋上に浮かぶ伊平屋島図1枚の計7枚のみが伝存する。各図ともに方位は琉球国之図と共通し、縮尺は同図の4倍の約3万分の1にあらわされる。間切図の描写内容や賦彩は琉球国之図と同様だが、間切名や村名、山名など固有名詞のみならず、陸上では間切(島)や杣山の外周距離、海上では港口の距離や深さ、陸地より測定した海方切線の方位など測量結果が多数記載される。
 以上のとおり、本件は琉球国沖縄島及び周辺の島々の地形、地物、地名を網羅的に明らかにする。当該期の史料が多数失われた沖縄島の往時の地理を知る上での基礎資料として特筆され、同国の歴史、測量史、地図史研究上に学術価値が高い。

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