今井氏庭園
いまいしていえん
概要
江戸時代に真田氏の城下町として発展した松代には,当時の計画的な街路・町割とともに,「カワ」・「泉水(せんすい)路(ろ)」・「セギ」から成る一連の水系が良好に遺存し,城下町の生活と密接に関連して多様な役割を果たしてきた。そのうち,今井氏庭園・半田氏庭園・宮澤氏庭園は,神田川から取水された一つの「泉水路」により連続する一群の庭園で,日常的な「生活の庭」であり,極めて質素な意匠・形態に特質がある。今井氏庭園では,昭和15年(1940)に改修されたことが伝えられ,昭和44年(1969)には園池の一部を埋めて離れが新築されたが庭園は残された。マツ・サンシュなどの樹間からは,園池を越えて象山(ぞうざん)を望むことができる。一つの「泉水路」でつながる庭園として松代の造園文化の発展に寄与した意義深い事例であり,造園文化に果たす役割は大きい。