中村家住宅(滋賀県長浜市八木浜町) 主屋
なかむらけじゅうたく(しがけんながはましやぎはまちょう) おもや
概要
中村家住宅は,琵琶湖北東岸の八木浜集落に所在する。近世に代官などを務めた上層農家の住宅で,外周の一部に堀をとどめる広大な敷地の北寄りに主屋を構え,周囲に表門や土蔵などを建てる。主屋は18世紀中期の建築とみられ,入母屋造,茅葺の主体部の周囲に下屋などを設ける大規模な農家建築である。広い土間と,ニウジと呼ばれる居室の上部に梁を十字形に架けて一体的空間をつくる,当地に広く分布する余呉型(よごがた)と呼ばれる民家形式の特徴をもつ。
中村家住宅の主屋は建築年代が概ね明らかで,余呉型民家として最大級の規模と典型的な軸部構成をもちつつ,土間の拡張や堅固な扠首構造に,家格に応じた特色を備えている。また表門などの附属建物を含め,近世以来の屋敷構えも良好に保持しており価値が高い。