六月の日

油彩画 

南薫造 (1883-1950)
ミナミ、クンゾウ
明治45年/1912
油彩・キャンバス・額・1面
116.5×170.0
左下に署名、年記
6回文展 竹之台陳列館 1912

8
六月の日
One Day in June
1912年
油彩・麻布 116.5×170.0㎝
前年の《瓦(かわら)焼き》に続き文展で二等賞を受賞したこの《六月の日》は、点描派風の細かいタッチを駆使して画面に新風を吹き込むとともに、写実味と装飾性の融合を試みた南の最も個性的な作品に数えあげられる。題材は故郷の瀬戸内海沿岸地域に取材したもので、初夏の麦の刈入れ時の海辺に近い畑の光景を描いている。この絵の描出意図については南自身、「兎(と)も角(かく)私の現わさんとした所は初夏のじりじり照りつける日の下で、乾いた土の上で働くのであるから自然喉がかわいて水を呑む。一種の疲れた味ひを出すのにある」と語っている。しかし、明るい光のもとで、のどかな日本の自然とそこで働き生活する人々を結びつけた自然主義的な風景描写というよりも、簡略化された構図、人物や徳利の輪郭線、精細な筆致等、平明で装飾的な画面構成をもつ静謐(せいひつ)でモニュメンタルな作品への志向が強く感じられる。画面中央の徳利から水を飲んでいる男の描写は、「全体に対する破綻(はたん)が有る様に思へる」(美術新報)と評されているように、ややまわりの風景との調和を欠くきらいがあり、作為的な印象を与えている。

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