埴輪 盾持人
はにわ たてもちびと
概要
これは3世紀から6世紀、権力者の墓の上やまわりに立て並べられた土製品である埴輪(はにわ)です。6世紀にはこのように人物を象った埴輪が増えますが、中でもこの盾持人(たてもちびと)は特別な役割を担っています。その役割とは、古墳を守るガードマンです。盾持人は全国で見つかっていますが、ほぼ例外なく古墳の中心から離れた縁(ふち)に置かれました。古墳を背に盾を持って立ち、邪悪なものの侵入を防いでいたのでしょう。大きな耳で、周囲に異変がないか聞き耳を立てています。この埴輪のように笑顔のものが多いのですが、中には目を見開いてびっくりしたような顔、相手を威嚇するような顔もあり、表情豊かなのが特徴です。笑いや怒りの表情には邪(じゃ)をはらう効果があると信じられていたのかもしれません。
埴輪はその身体の表現で、身分がわかります。まず、手や足が表されているのが、王や巫女などの身分が高い人々。次に、手の表現だけがあって足のない半身像が続き、一番身分の低い人々は手や足を省略して表されました。この盾持ち人は、手や足の表現がないので、格下の身分だったようです。また、作られ始めた当初は盾がしっかり表現されていたのが、時代が下りコピーを重ねるうちにその表現が簡略化されていったとも言われます。もはや盾を持つというより、自らが盾の一部のように表現されており、まさに全身で古墳を守っているかのようです。