鳳凰文塼
ほうおうもんせん
概要
百済の寺院で壁面に用いられたと考えられる文様塼である。
文様面の中央に、雲気状の両翼を翻す、右向きの側面形の鳳凰1羽を浮彫状に表わす。鳳凰文の周囲には、突線で挟まれた環状の珠文帯をめぐらす。文様面の四隅には、4面の頂部を合わせたときに十字形の花文になるように、花文の1/4が立体的に表わされる。塼の四隅には建物の壁面に設置するためにほぞ穴が設けられている。
韓国忠清南道扶余郡窺岩面外里で、昭和12年(1937)にほかの文様塼とともに出土した同笵例が知られている(韓国国立扶余博物館所蔵扶余224、東京国立博物館所蔵TJ-4343など)。
この文様塼も、窺岩面外里か、そのほかの扶余地方の寺院遺跡で出土した可能性が高い。