洞庭赤壁図巻  ドウテイセキヘキズカン

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絵画 

縦:55.1cm 横:297.5cm
1巻
重要文化財

 古来中国の名勝として知られた洞庭湖と赤壁を一望のもとに収め、金碧青緑山水の画法によって描いている。俯瞰的にとらえられた山水景の中に、多くの楼閣や家屋、人物などが見える。款記から、池大雅(1723~76)が49歳の時に制作したことが明らかな、晩年の代表的作品である。  本作には多くの題跋が備わり、制作当時から文人たちにもてはやされていた様子がうかがえる。まず、題箋を記したのは書家・篆刻家として知られる韓天寿で、「唐人之法」には本格的な唐時代風の青緑山水であることへの称賛の意が込められている。次に、漢学者宮崎筠圃による「乾坤日夜浮」(杜甫「登岳陽楼」)の題は、岳陽楼より望む雄大な洞庭湖の眺望を想起させる。さらに、跋文は漢学者・漢詩人の細合半斎と、漢学者頼春水の2名が記す。半斎の跋文から、本作が大坂の漢詩結社混沌社の一員で商人だった西村孟清の依頼により制作されたこと、制作に際して大雅が楊爾曾編『新鐫海内奇観』(万暦37年[1609]刊)を参照していたことなどがわかる。大雅の自賛も、同書からの引用である。春水の跋文は、かつて自身が体験した諸国の景勝を本作に重ね合わせ、画中に思いを馳せて遊ぶこと(臥遊)を可能にする作品として称える。  一方、大雅の友人だった桑山玉洲の画論書『絵事鄙言』には、本作の「湖面ノ水紋」に大いに新味があり優れていること、そしてその表現には、大雅が何度も琵琶湖へ出かけてたゆたう水の様子を観察した成果が生かされていることが述べられる。ごく薄く塗られた群青の濃淡の諧調と、その上に引き重ねられた墨の細線によってあらわされる繊細な水の表現は、たしかに本作の大きな特色となっている。中国から舶載された画譜類を、大雅はとりわけ熱心に学んで頻繁に制作の参考としているが、それだけでなく実景の観察をも重視していることは、大雅の制作態度の根幹にかかわる事柄として重要である。  発注者である西村孟清は、混沌社の詩会においてたびたび本作を披露しており、葛子琴は本作に想を得て詠んだ詩を残してもいる。また、青木夙夜筆「洞庭湖図巻」(福岡市美術館蔵)、福原五岳筆「洞庭赤壁図屏風」(大阪歴史博物館蔵)といった、大雅の弟子たちによる後継作品の存在からも、本作がいかに広く認知され、享受されていたかがうかがえる。

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