鷹山水図屏風
たかさんすいずびょうぶ
概要
自然の景観をあらわした山水図に、鷹を描いた作品です。作者は、室町時代後期から安土桃山時代にかけて関東で活躍した、禅僧で画家の雪村(せっそん)です。雪村は墨の濃淡を使い分けてモチーフを描く水墨画を得意としました。自由で奇抜な表現を用いた絵が多く残っています。
今回ご紹介する作品も、まるで生きているかのような動きを見せる波や奇妙なかたちの岩の描き方に、雪村の特徴が表れています。この絵の主役である鷹も、本物そっくりに写し取ったというより、どこかユーモラスな表情です。
鷹は左右の屏風合わせて3羽描かれています。それぞれ違う動きをしていますが、右側の屏風の鷹は、首をひねり斜め下を鋭くじっとみつめています。その視線を追っていくと、岩かげにウサギがいるのを見つけられたでしょうか。
よく見ないとわからない、隠し絵のような表現方法。細かいところに雪村の個性がうかがえる作品です。