虎ねむる

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虎ねむる

版画 / 木版画 / 昭和以降 / 日本

谷中安規 (1897-1946)

たになかやすのり

1933(昭和8)年

木版・紙

15.0×24.0

額装

 眠っている虎、その尾であそぶ少年、乳房を幼児にふくませた裸婦、畑をたがやす男、種をまく男。まだある。煙をはく火山、近代的な建築、南の国の樹木と、それにからみついた蛇。蛇はそばの男がもつなにかをたべようとしている。こういう脈絡を欠いたイメージの脱臼はとおくヨーロッパのシュールレアリスムの血をひいているのだろうか。
 ところで谷中の木版は、版画のみなもとにある単純と素朴をついにすてることがない。かれは絵をかくこと、平板を彫ること、そしてそれを摺ることをすべて自分でやっている。すなわち本当のてづくり。江戸の浮世桧や現代の高度なテクノロジーの成果にたよる版画では、複雑な手順と分業のあいだにこの素朴はにげさってしまいがちだ。
 黒と白、光と、凹と凸だけでできた谷中のちいさなせかい。近代の狐独をはじめて体験した日本に芸術という不思議な観念がうまれつつあることの証人ともなるはずのその生みのくるしみが、木版独特のやわらかさにたすけられて姿をあらわすとき、それははとんど郷愁とみわけがつかない。
 半世紀まえにみられた未来の像がすでに過去にくみこまれてなつかしいものとなったという以上に、はじめから谷中の作品はなつかしさがいのちだったからとみえる。(東俊郎)

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谷中 / 安規 / TANINAKA / Yasunori

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