額田寺伽籃並条里図(麻布)
かくでんじがらんならびにじょうりず
概要
麻布四枚を横継ぎにして料紙とし、北を上に條里を示し、額田寺伽藍及び周辺の寺領を描いたものである。條里は大和国平群郡九條三里(一九~三六坪)・四里(一~一八坪)、十條三里(二一~三六坪)・四里(一~一六坪)を千鳥式坪並で現わし、中央下部に大安寺式伽藍配置になる額田寺の堂塔伽藍、諸門、雑舎等が朱墨を交えて比較的詳細に描かれる。寺領を示す境界の要所には結界石を示し、その他寺領の地目や面積などが注記され、本図が寺領絵図として描かれたことを明らかにしている。その製作年代は未詳であるが、墨書注記人名等からして天平宝字年間を程遠からぬ頃に作成されたものと考えられ、東大寺以外に伝来した現在唯一の麻布條里図として、大和国の條里を伝え、且つ額田寺の規模を具体的に示した伽藍図として極めて価値が高い。