雛段飾り(鍋島紀久子所用)
ひなだんかざり(なべしまきくこしょよう)
概要
この雛段飾りの所用者は13代鍋島直泰夫人紀久子。朝香宮鳩彦王の第一皇女で、明治天皇の孫にあたる。紀久子夫人の雛人形は明治44年(1911)の誕生以降、大正時代の初めにかけて揃えられた。箱の商標から、いずれも京都の老舗人形店、丸平大木人形店の作であることが分かる。丸平大木人形店は安永年間の創業で、近代以降は皇室関係の御用を受け、各国の博覧会にも出品した。また雛道具は昭和6年の降嫁に際して誂えられたもので、一つ一つに朝香宮家の家紋を丸く図案化した意匠がほどこされる。紀久子夫人が鍋島家に嫁いだ翌年、昭和7年の鍋島邸での雛祭りを撮影した写真からは、九段の雛壇にさまざまな人形や雛道具が豪勢に飾られていた様子が伝わってくる。