更科紀行〈芭蕉自筆稿本/〉
さらしなきこう
概要
更科紀行は貞享【じようきよう】五年芭蕉が信濃国更科の名月を観、善光寺に詣でて江戸に帰った折の紀行文である。沖森本は、もとは懐紙五枚に書き継がれたもので、料紙は薄美濃紙を用い、本文は「さらしなの里、おはすて山の月見の事」云々以下八十二行を存し、末に「はせを」の自署がある。文中には訂正の跡が著しく、所掲の句も抹消加等があって、草稿本であることを明らかにしている。本文末には芭蕉の高弟尚白の筆になる識語があり、本巻が芭蕉の真跡であることを記している。この沖森本は芭蕉紀行文の現存唯一の草稿本であって更科紀行の推敲過程を明らかにして貴重である。
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