瀬戸獅子香炉
せとししこうろ
概要
もとは一対の狛犬(こまいぬ)の阿形(あぎょう)であったもので、千利休が口から後頭部にかけて打ち割って、香炉に仕立てたと伝える作品である。背側には傷が目立つが、正面は力強い表情のがっしりとした姿の獅子である。狛犬は瀬戸窯で、13世紀末頃に生産が始まったと考えられている。これは、灰釉が黄瀬戸釉に近い色調を呈しているので、室町時代後半の作であることが、近年の調査で明らかにされている。箱の蓋表には、小堀遠州の筆で、「利休所持」と墨書されている。のちに土屋相模守(さがみのかみ)から松平不昧(ふまい)へと伝来している。
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公益財団法人 根津美術館