半筒茶碗 銘 村雨
はんづつちゃわん めい むらさめ
概要
端正な作りの高取焼の半筒茶碗で、鉄釉と藁灰釉を内外に掛け分け、その絶妙な混ざり合いが簾のような美しい景色を成しており、「村雨」の銘に相応しい。透明感のある釉調は洗練された印象を与える。安土桃山時代の豪放な様式ではなく、江戸時代初期の新しい様式を示す作品のため、高取焼が小堀遠州(1579-1647)の指導を受けて洗練された作品を生産するようになった、白旗山窯の製品と考えられる。本作品は、益田鈍翁(1848-1938)旧蔵品で、風呂敷と内箱蓋裏に鈍翁の蔵印がある。また内箱蓋表の銀字について、遠州筆であるとの小堀宗慶(1923-)による極書が付属する。