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土左日記

とさにっき

概要

土左日記

とさにっき

その他 / 鎌倉 / 近畿 / 兵庫県

兵庫県

鎌倉/1234

縦16.8cm 横15.3cm 丁数50丁

1帖

兵庫県川西市長尾町10-1

重文指定年月日:
国宝指定年月日:19990607
登録年月日:

学校法人大阪青山学園

国宝・重要文化財(美術品)

 わが国最初の仮名日記として著名な『土左日記』の写本である本書は、藤原為家(一一九八-一二七五年)が嘉禎二年(一二三六)に、紀貫之(八六八-九四六年)の自筆原本を、仮名の字体や文章の表記等を含めて忠実に書写したものである。
 体裁は綴葉装冊子本、本文料紙共紙表紙の中央に「土左日記」と外題を墨書している。料紙は楮紙(打紙)を用い、丁数は五〇丁。本文は半葉八行から一〇行、一行一二字から一九字に書写され、和歌は改行せず本文に続けて一、二字分の空白に次いで書かれている。巻末には嘉禎二年八月二十九日の為家書写奥書があり、「紀氏正本」をもって一字も違わずに書写した旨を記している。
 『土左日記』の写本は、従来、この為家本を忠実に臨模した青谿書屋本(大島雅太郎氏旧蔵、現東海大学所蔵)が、貫之自筆本の本文を最もよく伝えた最善本とされてきた。本書はその親本にあたり、昭和六十年に重要文化財、今回さらに国宝に指定された。
 本書の書写の前年にあたる文暦二年(一二三五)五月、父定家が書写した前田育徳会所蔵本(国宝)は、『土左日記』の現存最古写本で、自筆本の書誌や本文の臨模を巻末に伝えるが、書写の際に、仮名の字体の変更、仮名を真名に置換するなど、仮名遣いを定家自らのものに改めている。
 これに対し、本書の場合、本文を前田育徳会本の臨模部分の同一箇所と比較してみると、為家が貫之の字体を正確にたどっていることが明らかであり、和歌の書式についても前田育徳会本の奥書の記載と符合する。本書は、自筆本の本文、その真名と仮名の使い分け、仮名の字体など、仮名日記文学の創始としての『土左日記』の価値を余すところなく伝えた唯一の古写本である。
 以上のように、本書は、貫之自筆本の原姿を最もよく遺した鎌倉時代中期の写本であり、一〇世紀の仮名文字遣いを伝え、文化史上および国語学・国文学研究上にきわめて貴重である。

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キーワード

本文 / 書写 / 写本 / 奥書

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