薩摩の水からくり
さつまのみずからくり
概要
水車を動力源にして人形を動かし、一場の芝居を演じさせるからくり人形である。ゼンマイ仕掛けや糸操り、花火仕掛け等のからくり人形は全国各地に伝え残されているが水力を利用したものは極めて稀である。
加世田市の竹田神社では、毎年七月二十三日(祭礼日)に社前の用水路上に設けられた小屋で、水車を利用して人形を舞わせている。今までに上演された演目は、島津義弘、島津忠将、西郷隆盛など薩摩の武将の活躍を題材としている。
知覧町の豊玉姫神社では、毎年七月九日(祭礼日)に、やはり社前の用水路の水車を利用して、人形を動かしているが、加世田の人形の動きが簡単なのに比べ、首をうなずかせたり、手足を動かす等複雑な動きをする。上演演目は、「五条の橋の牛若丸と弁慶」「天の岩戸」「那須与一」「川中島の戦い」等が行われてきた(知覧町の水からくりは、昭和十五、六年頃に一時途絶えていたが、昭和五十四年に復活されたものである)。
近世に行われたとされる水カラクリの変遷の過程を示す稀少な現存例であり、この水カラクリの構造や伝承形態などを記録保存するものである。
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)