仲本氏庭園
なかもとしていえん
概要
仲本氏庭園は,首里王府治世下の八重山地方において,19世紀前半には頭職(かしらしょく)という要職も務めた高級士族である仲本家の屋敷に造られた庭園である。
八重山には,作庭に関する古文書が伝わるほか,互いによく似ている「宮良殿内(みやらどぅんち)庭園」と「石垣氏庭園」が保存され,共に日本本土の庭園の伝統様式を踏襲し,庭園文化の伝播(でんぱ)をみる上で貴重であり,名勝に指定されている。
仲本氏庭園もこれらによく似ており,築山(つきやま)に巨石を据えて枯滝(かれたき)を組み石橋を架けた枯山水(かれさんすい)である。石材は主に琉球石灰岩であり,樹木はソテツ,フクギなどが植えられている。作庭は19世紀中頃と推定されている。
以上のように,庭園の材料や地割などの地域的な特徴や,八重山における日本本土の庭園文化の伝播をみることのできる事例として,造園史上の意義が深いと考えられる。
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)